第5回シンポジウムの実施報告と概要

第5回シンポジウムを、4月8日(15時~17時、その後交流会)に開催しまし
た(於国際ビル、会員企業テレコメディア様会議室)。会場、オンラインとも
多くの方々にご参加いただき盛会となりました。会員の皆様、参加された方々
に改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

まず、幣社団の伊丹敬之理事長(一橋大学名誉教授)から、スタートアッ
プへのエールという趣旨で、「大企業の投資不足と神の隠す手」と題する講演
がありました。要旨:過去20年間の大企業の投資不足で、市場には様々な形で
未充足の需要がひそかに残っており、スタートアップにとってはある意味チャ
ンス。オーバーエクステンションを旨に、スタートアップの前途には困難が待
ち受けるが、神の隠す手の原理により、果敢にもこれにチャレンジする姿勢が
重要。動けば何かが見えてくる、懸命な努力の先に自分の潜在能力が最終的に
発揮され成功する可能性あり。「正しいこと」には、人の助けの手も出やすい。

伊丹理事長(一橋大学名誉教授)


続いて、石井芳明中小基盤整備機構審議役(経済産業省から出向)から、
「スタートアップの政策的意義と具体的な支援について」講演をいただきました。
要旨:機動性の高いスタートアップは、大企業等が陥るイノベーションの
ジレンマへの解決策。様々な社会課題解決へのソリューションを提供可能。イ
ノベーションを創出し、大きく成長するスタートアップは、経済成長のドライ
バーで、雇用創出にも大きな貢献。政策的にも、更なる支援強化の方向。2022
年から、スタートアップ育成5か年計画を策定し強力な支援体制を構築。令和4
年度補正予算では、過去最高規模の役1兆円を確保。特に、大学発スタートア
ップは、自由な発想で、潜在力が大きく、長期的取り組みが可能といった長所
を有しており、シリコンバレーの例にもあるように、注目度大。中小機構も、
ファンド出資事業、ベンチャーデット債務保証、インキュベーション施設の運
営、など様々な支援措置を通じ、スタートアップの育成に注力。ものづくり補
助金、事業再構築補助金を始め各種補助金も充実させ多面的に支援。SBIRプロ
グラム、創薬ベンチャー強化事業など、新しい制度、枠組みも用意。なお、日
本政策公庫のスタートアップ向け融資制度は、特に利用しやすい仕組みであり
注目してほしい。


石井芳明中小基盤整備機構審議役(経済産業省から出向)

また、菅原貴弘株式会社エルテス代表取締役から、起業までのヒストリー、
事業展開の要点、事業紹介、日本のデジタル化に関する課題と取り組み(霞が
関OBとの連携、東大創業者の会ファンドの創設など)について、柳瀬善史株
式会社Waqua代表取締役社長から、特許取得パーツの小型淡水化装置や機器の
IoT化したプラットフォーム構築による、水のスマートグリッド社会実現目標、
様々な施工実績例(建設現場や水道事業の新しいビジネスモデル、海外援助、
能登地震への支援など)、今後の事業展望について説明がありました。

菅原貴弘株式会社エルテス代表取締役

柳瀬善史株式会社Waqua代表取締役社長

交流会のようす